1月8日日本時間午後10時、保釈中に中東のレバノンに逃亡した日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告が開いた記者会見。
世界中が注目した記者会見の主要な内容を簡潔にわかりやすくまとめています。
Contents
逮捕は日産のクーデター 政府関係者も関与
日産幹部6人を実名公表
ゴーン氏は、逮捕は検察と日産幹部のクーデターだと主張し、自らの潔白をあらためて強調しています。
- 西川廣人氏(前社長兼最高経営責任者)
- ハリ・ナダ氏(専務執行役員)
- 大沼敏明氏(元秘書室長)
- 今津英敏氏(前監査役)
- 川口均氏(前副社長)
- 豊田正和氏(社外取締役)
ゴーン被告は、「追放されたのは日産から親会社の仏ルノーの影響を排除するためだった」と説明。
「仏政府が3社連合に介入しようとしたことへの日本の反感もその一因だった」と述べ、逮捕を日本軍が米軍を奇襲した真珠湾攻撃に例えました。
(さらに詳しく)6名との関係は?
- 西川氏は、ゴーン被告と同様に株価連動型報酬(SAR)で本来より多くの報酬を得たことが判明。昨年9月にCEO辞任。2月18日に開催される臨時株主総会で取締役を退任する見通し。
- ハリ・ナダ氏はゴーン被告の不正疑惑に関連し司法取引をして捜査に協力。さらに同氏は西川氏と類似の手法で報酬を受けていたとされる。
- 大沼敏明氏もゴーン氏の社内調査報告書に携わった。
- 今津氏も社内調査報告書に携わった。
- 川口氏は日産で広報や渉外、法務などを長く担当。昨年12月に副社長を退任、現在は同社の特別顧問。
- 豊田氏はゴーン在籍時からの社外取締役。経済産業省出身で日本当局と繋がっていたとゴーン氏は主張。
政府関係者実名は公表せず
ゴーン氏は、逮捕は「日本政府関係者も関わった陰謀」だと主張。
しかし、「レバノン政府に迷惑がかかる」という理由で実名は公表せず。
その上で、安倍晋三首相が自身の逮捕に関与したとは考えていないとも。
共同通信は、安倍首相が8日夜、ゴーン被告の政府批判に関し「本来、日産の中で片付けてもらいたかった」と述べたと伝えています。
カルロス・ゴーンは「身の潔白」を主張
無実を証明する証拠もある
自身の容疑については「根拠がなく、検察は誤った情報をリークして証拠を隠した」「嫌疑は真実ではなく、私は決して逮捕されるべきではなかった」と主張。
その上で、数週間以内に無実の証拠を明らかにする考えを示しています。
CEOリザーブにも言及
ゴーン被告は、不正送金の「財布」とみられている「CEOリザーブ」と呼ばれる予備費にも言及。
- 複数の責任者が署名した上で最終的に自身が承認するという手続きを経て支出できるもの。
- 「私が好き勝手にできるものではない」と釈明。
- 日産の会社資金を不正に使用し、仏ベルサイユ宮殿で結婚披露宴を開いた疑惑について違法性を否定。
カルロス・ゴーンは日本の司法制度を批判
ゴーン被告は「私は最も基本的な人道の原則に反する司法制度を暴くために、ここにいる」と発言。
日本の司法制度を、具体的な事例を挙げ、強く批判しました。
- 弁護士の同席なしに1日8時間にわたって尋問を受けた。
- 英語やフランス語の通訳はつかず。
- 日本の有罪率は99%に達する国で「外国人はおそらくもっと高い」。
- 自白しないと家族を追いかけることになると言われた。
- 長い期間、妻との接触が禁じられた。
- シャワーは週2回、薬の処方も許されず。
- 弁護士からは判決が出るまで5年間は日本にいることになるだろうと言われた。
逮捕で「残忍にも」それまで自分が知っていた世界から連れ去られ、「家族、友人、コミュニティー、ルノー、日産、三菱自動車と45万人の従業員から引き裂かれた」と述べています。
また、自身の出国が違法であったことは認めた上で、「検察も、捜査情報をマスコミにリークするなど10件も法を犯している」と反論。ゴーン逃亡でどうなる?レバノンの記者会見で日本政府と『全面対決』かゴーン弁護士の弘中惇一郎は悪徳?悪い評判の理由はなぜ?真相は?
ゴーン逃亡方法については明かさず
ゴーン氏は、「逃亡は私の人生で最も困難な決断だった」と語りました。
「私は正義から逃げたのではなく不正義から逃げたのだ」と述べたものの、どのように日本を出国したかは支援者が明らかになるとして答えませんでした。ゴーン逃亡わかりやすく解説!経路やパスポート&楽器箱の謎も【画像】ゴーンが映画化計画?Netflixや堀江貴文とコンタクトで実現か
ゴーン会見に海外メディアの反応は?
記者会見には、ゴーン氏が選んだメディア関係者およそ100人が参加(日本からはテレ東など)。その反応は?
ドバイ経済誌で働く女性
「2時間以上の会見で各国のメディアの質問に答えていました。公正な会見だったと思います」
イギリスのプロデューサーの男性
「彼は自信にあふれていて、みずからの無実を信じていることはよく分かりました。説得力はあったと思います」
フランスのテレビ局の女性
日本からは限られた数のメディアだけが会見への参加を認められたことについて、「日本のメディアは最初に事実関係を知りたいはずなので、もっと大きな部屋を取って、参加を許されるべきだったと思います」
レバノンの報道陣
ゴーン氏の地元愛を聞くたびに笑顔を作り、時折、拍手をし、日本での検察や司法制度に対して納得していない様子だった。
フランスのメディア
日本の司法制度の“被害者”だと主張するゴーン氏に同情を込めたような質問をする記者がいた。
「(無実だと思うなら)裁判で証拠を示すべきだ」というメディアも。
スイスのメディア
ゴーン被告の出国方法について、詳しい経緯の説明がなかったのでがっかり。
森雅子法相
日本の森法相も深夜に異例の記者会見を開きました。
「保釈条件に違反して逃亡したにもかかわらず、それを正当化するために日本の法制度や運用について誤った事実を主張しており、到底看過できるものではない」ゴーン逃亡に海外の反応は?レバノンでは大統領候補?仏で82%賛成