史上最年少での「二冠」を獲得した藤井聡太さん。
そんな天才・藤井棋聖を育てた師匠は杉本昌隆八段です。
杉本八段が語る藤井聡太さんの素顔が垣間見れるほっこりエピソードとは?
強さの理由や意外な弱点も明かしています。
Contents
藤井聡太の師匠・杉本昌孝八段
類まれな才能をのびのびと開花させた杉本八段は名古屋市出身です。
名前 杉本昌隆
生年月日 1968年11月13日(51歳)
プロ入り年月日 1990年10月1日(21歳)
出身地 愛知県名古屋市
師匠 板谷進九段
1980年、12歳のとき6級で(故)板谷進九段に弟子入りしています。
2001年5月、第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。
本格派振り飛車党で、特に相振り飛車については棋界きっての研究家として知られています。
2019年3月にはB級2組へ復帰昇級。『50歳奇跡の昇級』と話題になりました。
トーナメントプロであると同時に執筆活動、テレビ出演、講演等も。
門下には、藤井棋聖、室田伊緒女流二段らがいます。
藤井聡太と師匠・杉本昌隆エピソード『クリームソーダ』
藤井聡太さんが杉本八段に弟子入りしたのは、小学4年生のとき。
名古屋の名物喫茶店「コメダ」でのエピソードが語られています。
「弟子にする許可を出したあと、杉本八段が藤井棋聖に最初に教えたのは、クリームソーダの飲み方だったそうです」(芸能ライター)
引用元:https://www.asagei.com/excerpt/154531
まだ幼かった藤井棋聖が、ソーダにアイスクリームを沈めて食べようとしたため、アイスクリームを沈めずに飲まないとあふれてしまうと教えたという。
杉本八段は「自分が藤井棋聖に教えたのはこれぐらい」と謙遜しますが、かなり親密な師弟関係のようです。
「杉本八段は、自分が教えたことはこれくらいであると語っていましたが、実際のところ、着物の着方から対局の作法や心構えまで、師匠として細やかにいろいろなことを教えてきています。~(中略)
2人は密な関係の師弟関係と言えるでしょう」(前出・芸能ライター)
引用元:https://www.asagei.com/excerpt/154531
著書などによると杉本八段の師匠としてのモットーは、
弟子を育てようとしないこと。
将棋には「正解」がなく、自分が正しいと思っていても、弟子の個性には合わないこともある。
主義や考え方を押し付けず、才能が伸びる邪魔をしないことが、師匠の心得と語っています。
藤井聡太と師匠・杉本昌隆エピソード『あんみつ』
藤井聡太さんは、ふだんから「長考してしまう」タイプだそう。
あるお店では、こんな天然な発言も。
あんみつとみつまめは、どこが違うのでしょうか?
藤井聡太さんは「とりあえず頼んでみよう」というタイプではなく、お店の方に材料を詳しく聞き、理解してやっとオーダーしていたそう。
ちなみに1回目はあんみつ、2回目はみつまめを頼んだということ。
ちなみに対局日の食事メニューもかなり迷ってしまうそう。
毎回お店を変えているのは、藤井さんが頼むと注文するお客さんが殺到するため、気を使っているようです。
藤井聡太さんの探究心は、ふだんの生活にも表れていますね。
また、藤井聡太さんの意外な弱点は「忘れ物が多いこと」だそう。
立ち寄った場所に学生カバンを忘れるということですから、頭の中は将棋でいっぱいなのかも。
師匠の杉本八段しか知らない藤井総太さんの高校生らしい素顔ですね。
師匠が語る藤井聡太のエピソード『強い理由』
杉本昌隆さんは多数著書を出しています。
その中の1冊『悔しがる力』では、藤井聡太さんの強さの理由についても語っていました。
異常な負けず嫌い?
弟子となった最初の練習。2局を指し、師匠の杉本さんと藤井さんの1勝1敗。
師匠に1勝したなら、ふつうの子供は大喜びする場面ですが、藤井棋聖は負けたことへの悔しさを隠し切れなかったそう。
悔しすぎて、その場で腹痛を起こしてしまうほどでした。
年齢を重ねるにつれ、感情を表に出さなくなった藤井聡太さんですが、子供のときの「我の強さ」は尋常ではなかったといいます。
杉本八段は著書の中で、このような持論を語っていました。
「悔しがる力」がなくなれば、勝負師としては終わり。負けることに慣れてしまうことが一番怖い。
全力で悔しがり、かっこ悪い姿を周りに見せれば、自分を追い込み、次に向けて努力せざるを得なくなる。
「負けず嫌い」な藤井聡太さんは、生来この力を持ち合わせていたということでしょう。
楽をしない将棋?
また、藤井棋聖の強さの秘密は、天賦の才能はもちろん、「将棋を好きであり続けていること」とも語っています。
例えば、公式戦の対局前、控室では雑談したり休憩する棋士も多い中、藤井棋聖は時間ギリギリまで「詰将棋」を解いているそう。
これは、マラソンレースの前に筋トレをやってるような感覚。普通では考えられないといいます。
そんな藤井聡太さんの将棋を、杉本八段はこのように表現しています。
基本に忠実。丁寧。細かい読みを省かない。「楽をしない将棋」。
藤井棋聖は研究会の将棋でも決して手を抜かないと杉本八段は語ります。
そもそも手を抜くという概念がないということ。
さらに藤井さんはタイトルや記録更新には興味がなく、ただ将棋が強くなりたいと日々研究を重ねているそうです。
この「楽をしない」という将棋へのひたむきさが、真似できそうで真似できない強さの秘密なのでしょう。
AIを超える棋士?
棋士は頭の中に将棋盤を持っていますが、 その盤のイメージは人によって違うそう。
杉本さんが藤井さんに「頭の中の将棋盤」について聞くとこんな答えが返ってきたといいます。
白黒で五角形の輪郭がない、一文字だけの 駒と シンプルな升目
まるでコンピュータ図面のような感じでしょうか?
独創的な戦法に与えられる「升田幸三賞」を受賞した藤井聡太さん。
対象となったのは竜王戦ランキング戦五組決勝で石田直裕五段を相手に指した「7七同飛成」という一手。
実はAIに検索させてもこの手まではたどりつかなかったということ。
これが、驚異的な思考能力を持つ藤井棋聖が「AI超えの棋士」と言われるゆえんです。
師匠が語る藤井聡太のエピソード『意外な弱点』
また、杉本八段は藤井棋聖の意外な弱点についても触れています。
安定感がない?
誰もが驚くアクロバティックな指し手が多い藤井棋聖。
相手の意表を突くことで、動揺やミスを誘発する戦法は藤井聡太さんの強みとも言えます。
しかし、それだけでは安定感がなく勝つための精度も低い。杉本八段いわく
挑戦まではできても、その先は届かないかもしれません。
さらに、藤井さんも自分の弱点がわかっているのでしょう。インタビューでもこのように応えています。
「自分の力ではまだ足らない」
師匠いわく、藤井さんの将棋に最近変化が見られるということ。
守りも得意になり、指し手が「かなり渋く」なったそう。
年齢や経験とともに、戦法も広がっていくのでしょう。
時間との闘い?
将棋の対局は長時間に及び、極限状態や疲労でミスを引き起こします。
また、「残り時間」との闘いもあります。
2019年11月の王将戦挑戦者決定リーグで、広瀬章人竜王との対局。
終盤、藤井棋聖は逆転に成功したものの、残り時間はなく「一分将棋」に。
一方の広瀬竜王の持ち時間は20分。
藤井棋聖は一分将棋の連続で、精神的にも追い詰められ痛恨のミスを犯し、いわゆる「頓死」。
師匠いわく「技術ではなく、時間が勝敗を分けた」とのこと。
これについて藤井棋聖本人も、このように語っていました。
「時間の使い方が課題」
今後、この課題をクリアしてますます強くなることでしょう。
まとめ 師匠・杉本八段が語る藤井聡太のエピソード
棋聖のタイトルを見事獲得、さらに王位戦では「二冠」に迫っている天才・藤井聡太棋士。
彼の才能を開花させたのは、弟子の個性を尊重し、のびのびと育て上げた師匠・杉本八段の偉業ともいえます。
今後も師弟の活躍が楽しみです!