昭和を代表する映画スターの勝新太郎さんと、歌舞伎一家の出身である中村珠緒さんの長男の鴈龍(がんりゅう)さん。
スター夫妻のサラブレッドとして生まれた鴈龍さんは、役者として脚光を浴びることはありませんでした。
それは、ある事件が原因だと言われています。
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勝新太郎と中村珠緒の息子は鴈龍が孤独死?
本名 奥村 雄大
別名義 鴈 龍太郎(旧芸名)
生年月日 1964年8月9日(55歳没)
出生地 京都府京都市
身長174cm
血液型O型
残念なことに、鴈龍さんは2019年11月1日、急性心不全で急死されています。
人知れず亡くなったことから「孤独死」と言われています。
鴈龍さん、残念です。同じ二世でも、スーパースターを親に持つ者はプレッシャーや世間からの厳しい声など、数倍、数十倍だったと思います。その中で、懸命に生きられ、我が道を全うされた鴈龍さんに尊敬の念を込めて、追悼。 pic.twitter.com/6aRyBmWUfM
— 美勇士 (@myuji69) December 4, 2019
勝さんと玉緒さんの間に生まれた鴈さんは、“芸能界のサラブレッド”として期待されていました。
しかし、デビュー前の1982年に大麻密売で、2年後の1984年には大麻取締法違反容疑で逮捕されてしまいます。
後に1990年1月には、父親である勝さんも、ハワイのホノルル空港でマリファナとコカインを下着の中に隠し持っていたとして現行犯逮捕されています。
#メンバー
そう言えば勝新太郎がハワイでコカイン所持の容疑で逮捕された(”所謂パンツ事件”)時の肩書は「元社長」だった。今では普通かもしれないが、当時は一瞬「なんの社長だったっけ?」と奇怪な思いがしたものだ pic.twitter.com/1wPni49Uxu— hayamin (@hayamin_tw) April 26, 2018
「もうパンツははかない」と放った「迷言」は今でも語り草になっていますが、「似た者親子」だったのかもしれません。
勝新太郎と中村珠緒の息子の真剣事故とは?
懐かしいな…座頭市。映画界の革命児、豪傑、破天荒やら色々言われた名優、勝新…勝新太郎。シャイでカッコ良かったな🤔今の時代ではもう伝説の役者やな😳 pic.twitter.com/4VCgtyphOy
— # hii (@hii29227409) February 11, 2020
逮捕されたにも変わらず、「親の七光り」のもと、1989年に鴈龍さんは本名の奥村雄大(おくむらたけお)の名前で、勝さんが監督も務めた映画『座頭市』でデビューすることに。
しかし、その撮影現場で悲惨な事故が起こります。
勝新太郎監督・主演で製作された最後の『座頭市』の撮影が、広島県福山市金江町金見の総合レジャー施設「みろくの里」で行われていた。
昭和63年12月26日、立ち回りの最中、勝の長男で本作がデビュー作となる奥村雄大(たけひろ・24・当時)の持つ刀が、俳優の加藤幸雄さん(34・当時)の首に刺さり重体となり、翌年1月11日、急性循環不全のため入院先の岡山大学病院で死亡した。
引用元:https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201802_post_15837/
映画内で刀を使った乱闘シーンの撮影で、小道具の刀がニセモノの模造剣ではなく、本物の「真剣」にすり替わっていたというのです。
俳優が1名亡くなる大惨事に、世間は大騒ぎになりました。
勝新太郎の真剣事故はなぜ起こった?
しかし、なぜそんなことが起こったのでしょうか?
座頭市1989年版。勝新太郎さんによる最後の座頭市。息子さんのデビュー作でもあったが真剣使用による事故により俳優さん一人が亡くなってしまい当時大問題になった。曰く付きの作品だけど殺陣は凄い迫力でいい俳優さんたちもたくさん出ていて面白かった。#座頭市 pic.twitter.com/elwUfk1UT9
— うっちゃん⊿ (@kimihiko03230) January 20, 2020
助監督「リアリティを出すため」
鴈龍さんに真剣を手渡した、当時の助監督・中村章さん(24歳・当時)は、「演技に迫真力をだすため、真剣を持たせた」と供述。
しかし、「真剣を使うのは、刀のアップを撮る時などだけ。大勢が絡み合うシーンで使うことなどあり得ない」と殺陣役の同僚俳優は語っています。
事故が起こったのは、約80人が絡み合う乱闘シーンだったのです。
勝新太郎が指示?
取り調べに当たった広島県・福山西署の捜査員は、助監督の説明では納得できないと首をかしげました。
そこで、「真剣を使って2世の演技を引き立たせてやりたいという、勝の配慮があったのでは?」との見方も浮上。
しかし、「真剣の使用を指示しておらず、また使用されていることも知らなかったために監督責任を問えない」として、勝さんは送検されませんでした。
鴈龍は真剣と知っていた?
結局、「業務上過失致死」「銃刀法違反」の疑いで、鴈龍さん(当時・奥村雄大)と助監督の中村さん、そして小道具係の3名が書類送検となりました。
鴈龍さんは当初「真剣とは知らなかった」と語っていましたが、後になって「真剣と知りながら撮影に使っていた」と供述しています。
結局、業務上過失致死罪で罰金20万円の略式命令となり、この事件は収束しています。
勝新太郎と中村珠緒の息子『真剣事故』には陰謀説も
そして、「なぜ真剣が使われたのか」は、はっきり分からないままです。
一説には「陰謀説」も流れるほどでした。
なぜなら、この「座頭市」は、鴈龍さんのデビュー作であり、その役柄は悪党・五右衛門一家の親分役で、新人らしからぬ大役。
『座頭市(’89)』の鴈龍さん、撮影事故はキャリアに暗い影を落とすことになってしまったが作品の完成度と役柄の存在感は素晴らしかった。合掌。 pic.twitter.com/9OK0QLAE1D
— 三家本礼 血まみれスケバンチェーンソーreflesh第2巻 12月12日発売 (@reimikamoto) December 3, 2019
「たけちゃんの演技は物凄く良かった。勝さんの指導も良かったのでしょうが、スタッフ一同が唸るほどだった」(同・元勝プロ関係者)
「親の七光り」のおかげでつかんだ大役とはいえ、演技力も相当なものだったということ。
このままいけば、おそらく勝新太郎の血筋を引く大スターになっていたのではないでしょうか?
しかし、鴈龍さんは、この事故をきっかけに1994年までの約5年間謹慎。
「これからという時の5年間は長かったし、たけちゃんのショックも大きかっただろう。可哀想だった」(同・元勝プロ関係者)
愛知静岡道中、勝新太郎さん&中村玉緒さんご子息の鴈龍さんとずーっと一緒でした。さすが豪快な方でマシンガントークやたら面白かったッス。これまたありがとうございました!
Gangster style so cool. ん、英語おかしいかな pic.twitter.com/69HGCg95rE— 阿佐ヶヤスタカ (@asagayasutaka) November 13, 2013
その後、1997年に勝さんが他界すると、勝さんの親友だった故・石原裕次郎さんが興した石原プロモーションに鴈龍さんが所属するという話もありましたが、その話は立ち消えに。
その後は、中村珠緒さんの事務所に所属し、2003年にはNHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」に出演したものの、他の仕事は玉緒さんが出演する2時間ドラマの助演が中心。
映画出演も1998年の「修羅がゆく7」以来、ありませんでした。
あの「真剣事件がなかったら、きっとスターになっていたのかも」と思わせるオーラと演技力が、鴈龍さんにはありました。
それが、「陰謀説」が流れる所以なのかもしれません。